|
東南アジア考古学会奨励賞は、東南アジア考古学会設立30周年を記念し、東南アジア及び、関連地域の考古学研究において顕著なる業績を挙げた若手の研究者を顕彰・奨励し、当該地域における将来の調査・研究が更なる活性化することを目的として、平成21年度に制定されました。今年度は第一回目の授賞となります。
選考委員会は、東南アジア考古学会奨励賞規定に基づき、選考委員長を含め、5名の選考委員で構成された選考委員会で、厳選かつ公平に審査が実施されました。すぐれた応募者のなかから、選考委員会では慎重な審議の結果、第一回東南アジア考古学会奨励賞の受賞者として、田畑幸嗣氏(上智大学)を、全員一致で決定しました。
同氏は上智大学大学院外国語学研究科地域研究専攻博士後期課程を満期退学し、地域研究で博士号を取得しています。
同氏は東南アジアにおける陶磁器生産と流通に関心をもち、東南アジアで最も古い陶器の一つである古代カンボジアのクメール陶器に焦点をあて、調査・研究に取り組んできました。今回の授賞対象となった『クメール陶器の研究』(雄山閣 2008年)はその研究がやっと黎明期を迎えたばかりのクメール陶器を窯跡の発掘調査という考古学的な研究手法を取り入れ、分布、技術論も含め、その変遷を論じているところが大きく評価されました。
タニ窯跡出土遺物の物原部の調査では出土した約4トンの大量遺物を整理分析し、型式学的分類を行っています。その分類は今後のクメール陶器研究の標識ともなり得る内容であり、型式学的分類を基礎として、整形技法、装飾技法、窯詰め技法、焼成技法などについての考察も言及されています。
これらの研究は前述したように黎明期のクメール陶器研究のなかにあって、先駆的であるとともに、先験的であります。このことが本賞を授与するにあたっての最大の授賞理由です。本賞の第一回奨励賞受賞者として田畑氏は将来の活躍が期待される若手研究者として贅言を要しない人物であると考えます。
平成 22年 11月 28日
東南アジア考古学会奨励賞選考委員会
委員長 江上 幹幸
|